技術情報Technology

赤外線カメラ用レンズ

被写界深度について

赤外線を撮影する場合、赤外線は可視光線より波長が長くて屈折率が低く、ピント位置が可視光線に対して異なるため、撮影の目的により被写界深度を考える必要があります。

被写界深度とは、 ピントが合っているように見える被写体側の範囲なのですが、実際には、ピントが合っているのは一か所(一点)だけです。 被写界深度を算出される際に、「許容錯乱円径」という変数が使用されます。

許容錯乱円径とは、ピントが合っているか否かの判断に使われる計算上の範囲で、 ピントが合っているといわれている(ボケとして認識できない最小の範囲まで)の距離をいいます。 1.5倍が多く使われています。
例) 17umセンサーの場合:17 × 1.5 = 25.5um

前方被写界深度
許容錯乱円径(mm) × 絞り値(F値) × 被写体距離(mm)2
焦点距離(mm)2
(プラス)
許容錯乱円径(mm)
×
絞り値(F値)
×
被写体距離(mm)
後方被写界深度
許容錯乱円径(mm) × 絞り値(F値) × 被写体距離(mm)2
焦点距離(mm)2
(マイナス)
許容錯乱円径(mm)
×
絞り値(F値)
×
被写体距離(mm)

分母が0(ゼロ)の場合は、距離が∞(無限大)とします

  • 許容錯乱円径は、センサーのピクセルピッチの1/2以下
  • レンズ焦点距離が短いほど被写界深度が長くなる
  • センサーピクセルピッチが小さくなると被写界深度が短くなる

弊社製品、遠赤外線カメラ「VIM-384G2」 のカメラ仕様で、

  • ピッチ: 17μm
  • 焦点距離: 13mm
  • 絞り値: 1.1
  • 許容錯乱円径: 0.008mm

20m先で焦点を合わせると、10m~∞(無限大) までピントが合うことになります

(遠赤外線カメラの場合は絞り値(F値)が小さいので、ピントが合ってる距離が短くなります)

実際のレンズ仕様 ジンクサルファイト(ZnS) #612

住友電気工業株式会社様のレンズを例に挙げています。

項目 特性値
(備考)
光学特性
焦点距離 13.0mm
(code#0612)
F/# 1.1
水平画角 50.3°(A) / 36.2°(B)
イメージサークル 13.6mm
フォーカス調整 Manual
レンズ透過率(平均) 0.78
(波長8~12μm)
コーティングタイプ 反射防止(AR)コーティング*1
(波長8~12μm)
機械特性
重量 19g
レンズマウント ねじ込み式
(M34×0.5(ピッチ)[mm])
環境特性
動作温度 -40℃~80℃
(アサーマル対応)

写真「ジンクサルファイト(ZnS) レンズ」

*1環境試験(MIL-F-48616)
密着力試験
テープ試験
高温高湿試験
80℃ / 95% X 1000h
摩擦試験
20回 (severe)
温度衝撃試験
-40℃~100℃ X 1000サイクル
温度衝撃試験
100℃ X 750h / -57℃ X 570H
タイプ ピッチ 画素
A 17μm 640x480(VGA)
B 25μm 320x240(QVGA)

ジンクサルファイト(ZnS) レンズ MFTグラフ 何ミクロンのセンサーまで耐えられるかを確認するにはMTF曲線グラフが適しています。

ジンクサルファイト(ZnS) レンズ レイアウト図

ジンクサルファイト(ZnS) レンズ 歪みグラフ

このページのトップへ

English Site