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非冷却型遠赤外線カメラ

補正方法(2):2点間温度補正

ゲインの補正処理として2点間補正があります。
これは、低温側の温度均一面をカメラで撮影し、次に高温側の温度均一面をカメラで撮影します。
各画素の傾きが同じになるように1次補間係数を算出します。
その係数で、各画素のデータを補正します。
これにより、オフセットとゲインの両方に対して補正が可能になります。

低温と高温の画像から、各画素のゲインとオフセットを補正

写真「各画素のゲインの補正前後比較図」

2点間温度補正とその問題点

2点間補正をおこなっても、高温と低温の差が大きいとその中間の画像は、NETDが悪化します。 これは、ボローメータの特性が直線でないために発生しています。
実際に15℃と50℃で2点間補正を行った場合のその中間温度である32.5℃の画像を取得し標準偏差を求めました。 若干ですが、標準偏差が悪くなっています。

写真「15℃の画像」

15℃の画像(6bit)
標準偏差=5.9

写真「32.5℃の画像」

32.5℃の画像(6bit)
標準偏差=6.7

写真「50℃の画像」

50℃の画像(6bit)
標準偏差=6.1

これを解決するには、温度幅を小さく線形補正を行うかn次曲線補正が必要になります。
この曲線は、理論上指数関数です。

グラフ「輝度/温度 実際の輝度とのズレ」

  • 15℃と50℃の黒体で2点間補正を実施
  • 15℃と50℃の黒体の画像は、ノイズが少ない
  • 間の32.5℃の黒体の画像は、ノイズが増加
  • 出力特性が直線上でないために発生
  • 2点間補正は、温度範囲を狭くする必要がある

線形補正・n次曲線補正が必要

2点間補正をおこなっても、カメラの筐体温度やFPA温度やレンズ温度が変化することにより、大きく輝度が変化し、NETDも悪くなります。 これは、カメラ内部の筐体やFPA自身の光がボローメータに入射しているため発生しています。
補正直後の画像は、このように非常にきれいな画像ですが、カメラの温度が高くなるとこのように輝度が高くなり、ノイズも多くなります。

写真「2点間温度補正 補正直後」

補正直後

写真「2点間温度補正 環境温度変化後」

環境温度変化後

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